第104回重村力氏(神奈川大学工学部建築科教授/神戸大学名誉教授)、内田文雄氏、吉村雅夫氏、西山英夫氏、久保勇人氏、西田潔史氏、長尾健氏
タイトル |
場所の創造と同時代地域主義へ -発見的方法、地域主義、同時代感覚、場所の喪失と回復をめぐって- |
日時 |
2012年7月21日(土)18:00~20:00 |
会場 |
海外移住と文化の交流センター 5階ホール(〒650-0003 兵庫県神戸市中央区山本通3丁目19番8号) |
【第1部】
講演会/重村 力氏
【第2部】
トークセッション/重村 力氏、内田文雄氏、吉村雅夫氏、西山英夫氏、久保勇人氏、西田潔史氏、長尾健氏
<会費>JIA会員一般1,000円 学生500円 定員100名(お申し込み先着順)
<主催>社団法人日本建築家協会近畿支部兵庫地域会 兵庫県建築設計監理協会
<協賛>日本オーチス・エレベータ株式会社、三ツ星ベルト株式会社、株式会社総合資格
第104回アーキテクツサロン「建築家の系譜シリーズ」の第6弾として、神奈川大学工学部教授の重村力氏をお招きして、「場所の創造と同時代地域主義へ」というテーマで講演いただきました。
第一部では自身の都市や建築に対する思いを語っていただき、第二部では龍環境計画・山口大学大学院教授の内田文雄氏やいるか設計集団代表取締役の吉村雅夫氏ら象設計集団・いるか設計集団のOB建築家を交えてのトークセッションを行いました。
重村氏は「コモンズとしての建築」を提唱しておられ、戦後、日本の建築は資本主義と結びつき、独自性や地域性を失ってきたことを指摘し、場所というものは過去の出来事を多くの人が共有しており、その場所を味方につけることで創られる建築が豊かになると提言されています。そして、空間というものは切れ目なく連続していて、いろんな役割が重なり合うもので、その重なり合いによって生まれる多義性は都市のスケールにおいても、建築のスケールにおいても適用されてきたことを,歴史的な広場や古い民家の例などをあげて実証され、現代の建築にも単純に機能を満たすだけではなく、さらに重なりあいを許容する鷹揚さを兼ね備えていなければいけないとも指摘されています。
なぜ、重村氏がそのような見地で建築や都市を語られるのかは、第二部のトークセッションでOBの方々との会話で少しずつ明らかにされていったように思います。
それはフィールドワークによる調査を行い、資料だけでは分からない生の声を吸い上げることで、建築や都市をかたちづくる背景をあぶり出すことを徹底されており、そして、そこから地域や場所の特性を的確に導き出し、それを建築に昇華させるという手法で多くの建築を設計されているように感じられました。
セッションに参加された方々もその影響を受けてそれぞれ少しずつ方向性が異なるものの,根底に流れている重村イズムというものが徹底されていることを感じることができた充実した講演会となりました。