第16回八木 康行
タイトル |
ブラジル紀行 |
日時 |
2023年12月21日(木)18時00分~20時00分 |
会場 |
JIA兵庫地域会事務局 |
建築家は旅がとても好きである。なぜならまず好奇心が強いから。そしてどこへ行っても人がいる限り建築と街は存在するからである。ル・コルビュジェは、若い頃東方への旅をした。私も二十代の頃、中近東の国々を巡った。エジプトソハーグの外れにある原始キリスト教の半ば廃墟となった修道院、シナイ半島モーゼ山麓にある聖カテリーナ修道院やシリア砂漠のオアシス都市パルミラ、観光客など殆どいなかったイスタンブールのアヤソフィアなどを訪ねている。それらの旅で巡った建築や都市は、私の建築体験の原風景として身体と脳裏の奥底にしっかりと刻まれている。今年、新たな旅の記憶が重ねられた。南米への旅である。そこで食べたものや嗅いだ匂い、そして身を置いた建築空間、歩いた都市の街路や喧騒、アマゾンやイグアスの瀑布、それらすべての記憶は私の中で生々しく醸成される。これらはきっと、私の手を通してまた何か形を生み出す原動力となるに違いない。夢はさめても旅の記憶が冷めることは決してない。一言でいうと大都市と大自然の対比が素晴らしい・・これが南米大陸の魅力だろうか