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すまいまちづくり育成塾プログラム概要-PROGRAM INFORMATION-

すまいまちづくり育成塾は、
2010年度から始まったJIA兵庫地域会主催の建築出前授業です。
授業の対象は小学生高学年及び中学生を想定しています。

育成塾の狙いは、
段ボール素材の模型づくりのワークショップを通じて、人と人が建築空間を介してつながり、コミュニティを形成し社会ともつながって、さらには街に発展していくというプロセスを疑似体験しながら、建築と空間というものが持つ可能性を発見してもらうことにあります。

現在の授業プログラムは、
2010年度にJIA兵庫地域会すまいまちづくり育成塾実行委員会のメンバー有志で半年かけて議論を重ね小学5年生向けにオリジナルに作成したものです。T-CUBEと名付けた段ボールの立方体を一つの建築「すまい」に見立てることで、まず空間という概念を子どもたちに発見してもらいます。自分の意志で決定した用途や設けた開口部によって内部空間と外部空間の変化に気付き、二人一組で積極的で機能的なつながりを生み出してもらいます。次に六人一組で周辺環境や他者とのつながりを構築していくことで「まち(ここでは村)」が出来上がっていくプロセスを擬似体験してもらいます。さまざまな葛藤や調整を話し合いと手作業の両方で考えてもらうことで、つながりにも制約があり得ることに気付いてもらい、延いてはこのCUBEの組合せによって生まれる「公共」という概念にたどりついてもらいたいと思っています。同時に改めて「個」の存在や役割の大切さを再認識してもらうこともこの授業の目標です。

記念すべき第1回目の授業は、
2011年2月に関西学院初等部にて5年生の3クラス90名の皆さんに開催させていただきました。
今後は神戸市内を皮切りに兵庫県内の各小学校、中学校で広く地道に授業を行っていきたいと思っています。
授業プログラムも順次改訂改良を重ねて、建築空間を生み出す楽しさや、
建築と社会を考えることで子供たちの公共心を養うきっかけづくりにしていきたいと思います。

私たちの出前授業を受けてみたいと思われる学校教育関係者や保護者の方がおられましたら、
是非お気軽にJIA兵庫地域会事務局までお問い合せ下さい。
小学校の総合授業や中学校の家庭科技術、あるいは社会科学の授業の一環として取り組みさせていただきます。
なおこの出前授業は、私たちJIA兵庫地域会の社会に対する公益活動として取り組んでいます。


「第1回 T-CUBEによるボクたちとワタシたちの村」

対象 関西学院初等部 5年生
1クラス約30人×3クラス
科目 総合(建築授業)
開催日時 2011年2月7日(月)15分(プレ授業)
2011年2月12日(土)2時限3時限 45分授業2コマ 合計90分(本授業)
構成 3クラスを同時開催
ワークショップは1クラスを5グループにわけ、1グループ5〜6名の生徒に建築家1名が担当

このプログラムはT-CUBEという一辺1.8M角の立方体の空間をつかって、自分のための空間を考えることから始まり、友達との話し合いから関わりの中で空間を考えること、まわりの環境との関係を考える段階を経て、自分と他者、環境とのつながりを考える。ひいては、心と心をつなげ社会に対する自分の振る舞いを変えていくだけの気付き、発見をしてもらうことを目指している。
T-CUBEのTはTUNAGARU のTで、つながるCUBE(空間)である。
本授業に入る前に、プレ授業を行う。
こどもには、家以外にある一辺1.8M角のスペースを自分の場所として、そこでどんなことをしたいか、どんな感じにしたいか、何か一つに絞って考えてきてもらうことを宿題とした。
与えられた自分のスペース(一辺1.8M角の立方体)の実際の大きさを体感できるように、教室には、パイププレームを布で覆った出入り可能な1.8M角の実物大T-CUBEを設置し、空間の大きさを自分の目で見て体で感じ、自分のT-CUBEをどんな場所にしたいのかを考えてもらった。

本編授業
ミニ講義 世界の建築/街並の紹介
ミニ講義 世界の建築/街並の紹介
Google earthの画像を使って、日本、スペインやアメリカなど世界の街並を鳥瞰的に見ることで、古い街並と新しい街並、建築と道、公園、中庭など街の特徴を全体的に捉えたあと、人の視線レベルで街の見え方や特徴を捉える。 そして、本プログラムのキーワード「つながる」と関連をもたせ、街並の中でも、建物の窓や入り口の位置や人の視線の関係やつながりの事例を紹介。最後に建築の形態の違いによるつながりかたの事例を紹介する。 今回の授業ではGoogle earthについて知っている子どもが多く、知っている建物の写真があると特に興味をもって聞いてくれた。

ワーク1
各自宿題では自分のT-CUBEをどうしたいのかについてだけを考えてきていた。
ワーク1では各自に段ボールでできた1/20模型のT-CUBEが与えられ、友達と2人組になり、自分のT-CUBEと友達のT-CUBEに加え2人で一緒に使い方を考える白色の共有T-CUBE、この3つのT-CUBEを使ってそのつながりや関係を考えることが知らされる。
自分のT-CUBEには入り口1つ窓2つまでと決められた条件で、それぞれの目的や関係性を考え、
共有CUBEの使い方を一緒になって考える共同作業である。
最初はとまどいながら、ペアによって違いはあるものの、協力して考えてくれた。

ワーク1

ワーク1

ワーク1


ワーク2
ワーク1で2人組になって3つのT-CUBEの使い方、つながりについて考えた。
ワーク2では、敷地が与えられ、2人組を3グループ、合計6人で3つのT-CUBEの固まりを敷地に配置し、小さな村をつくることになる。
スケールをわかりやすくするため、人型も与えられる。
敷地は丘、木、池という特徴ある3つの要素がある。
それらの特徴を生かしながら、環境との関係を考え、6人で3つのT-CUBEブロック(合計9つのT-CUBE)の配置を考えた。
最終的に村に名前を付けるため、どんな村にするのか、テーマを話し合いながら環境や他の人との関係性、形態についても同時に考えてもらった。
ワーク2で敷地が与えられてから、それまでT-CUBE内部のことについてのみ意識していたのが、一気に意識が外に向き、世界が広がり、6人で話し合い一緒に村をつくる共同作業がすすむ。
最初はT-CUBEをどう組み合わせるかの形についてのみ興味を持っていた子も、
環境や他者とのつながりを話し合いの中で考え、形を考えるようになっていく。

ワーク2

ワーク2

ワーク2


発表
各グループでつくった村を間隔を空けて床に並べ、村の名前、どんな村なのかをグループごとに発表する。
全グループが発表した後、5つの村をくっつける。
1つの大きな村になると、また新しいものが生まれ展開される期待感があった。

発表

発表

発表


その後
その後
授業内容の密度が高かったため、制作時間が足りずもう少し考えたいと、授業の後も子どもたちは村を作りつづけてくれた。 1週間、2週間、時間とともに変化し成長する村の写真を送ってくれた。 この授業での経験を通して、街並や環境を考えること、人とのつながりの中で他者のことを考えることなど、少しでも気付きを得て、心に刻まれているものがあるとうれしい。



第1回すまいまちづくり育成塾:参加建築家
2011.2.12
担当クラス 氏名 主宰事務所 授業担当 所属
5-A 八木康行 ステュディオエイトアーキテクト A-1 JIA(兵庫地域会会長)
嶋崎真二 なづな工房 A-2 JIA
内藤玲子 SWITCH建築デザイン事務所 A-3 JIA(兵庫地域会運営委員)
村上隆行 eu建築設計 A-4 JIA
山田智恵 山田智恵建築設計事務所 A-5 無所属
5-B 矢代恵 MEG建築設計事務所 B-1 JIA(兵庫地域会運営委員)・実行委員長
都倉泰信 マンゴーデザインアーキテクト B-2 JIA(兵庫地域会運営委員)
福田浩明 福田建築工房 B-3 JIA
荒谷省午 荒谷省午建築研究所 B-4 JIA
杉本雅子 アトリエフーガ B-5 兵庫県建築士会
5-C 長谷川総一 長谷川設計事務所 C-1 JIA
土山達也 テラモンテ建築研究所 C-2 JIA(兵庫地域会運営委員)
阿曽芙実 阿曽芙実建築設計事務所 C-3 JIA(兵庫地域会運営委員)
久保田淳司 ヒント C-4 JIA
八木景子 すまいの再生デザイン室 C-5 兵庫県建築士会
総合アドバイザー 大江一夫 マニエラ建築設計事務所 JIA
記録・タイムキーパー 熊野明美     JIA兵庫地域会事務局


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