歴史的建築物セミナーは、兵庫県内に現存する貴重な歴史的建築物にスポットをあて、その建物のできた背景や建築的価値だけでなく、どのように所有者や地域の方に愛されてきたかを検証していくことで、時代の変化に合わせて、どのように保存再生をしていくことがよいかを、私たち専門家だけでなく、多くの方とともに考えていこうとする事業です。
イベント名称 | 第4回ひょうご歴史的建築物セミナー 「国際観光資源としての文化財 淡路島・春陽荘の再生」 |
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開催日時 | セミナー 2016年9月24日(土)14:00〜16:30 見学会 2016年10月 1日(土)10:00〜11:30 ※オープニングセレモニー 2016年10月 1日(土)13:30〜17:00 |
募集期間(締切日) | 2016年9月22日(木・祝) |
講師 | 高山 傑 ほか |
内容 | 昭和16年に淡路島、洲本市に建築された「国登録有形文化財」の近代和風住宅が、この秋より、その優れた建築、環境を活かして、伝統的文化や歴史を、国内外の多くの方に体験し、学んでいただける観光資源として蘇ります。持続可能な有形・無形文化財の維持・継承の一つのあり方を学ぶ貴重な機会です。ここへ至った経緯や思いを、新たに所有者となり、再生に尽力された高山傑氏にうかがいます。 |
参加対象 | 一般、学生、JIA会員 |
定員 | セミナー 100名 見学会はセミナー申込者のみ参加可能 ※オープニングセレモニーは10名限定募集(先着順受付) |
参加費 | 一般 1,500円 学生 500円 ※オープニングセレモニーは10名限定募集(先着順受付、参加費 和装参加2,000円、和装以外参加3,000円) |
申し込み方法 | E メール、FAX または電話にて、お申込みください。(先着順受付) 「セミナー参加希望」、「セミナー・見学会参加希望」「セミナー・見学会・セレモニー参加希望」のいずれかを明記の上、お名前、所属(会社・学校等)、JIA または建築士会会員でCPD 単位希望の方は建築士番号をご記入ください。 (JIA CPD /建築士会CPD プログラム セミナー3.0 単位 見学会1.0 単位) |
会場 | <セミナー> 海外移住と文化の交流センター 5階ホール JR 元町駅東口から鯉川筋を北上、徒歩15 分、または 市バス7系統「山本通4丁目」下車、徒歩2分 <見学会> 春 陽 荘 洲本市宇山2 丁目5-4 高速バス:新神戸・三ノ宮・舞子から洲本バスセンター徒歩10 分、宇山バス停徒歩5 分 自家用車:国道28 号線(北から塩屋交差点過ぎてすぐ、南から新橋北詰交差点過ぎてすぐ) 淡路タクシーの角を北に曲り、洲浜中学校を過ぎた突き当り。 ※駐車台数に限りがありますので、乗合または近隣駐車場及び徒歩での移動にご協力ください |
住所 | 神戸市中央区山本通3丁目19番8号 |
地図表示 | |
主催・共催等 | 公益社団法人日本建築家協会近畿支部兵庫地域会 NPO法人ひょうごヘリテージ機構H2O神戸 |
CPD単位 | セミナー3.0単位 見学会1.0単位 |
お問い合わせ先 | (公社)日本建築家協会近畿支部兵庫地域会事務局 TEL 078-291-5548(火・木のみ) e-mail jia-hyogo@h9.dion.ne.jp |
当日の様子 | 兵庫県ヘリテージマネージャーの活動は2001年ごろから始まりました。どうすれば歴史的な建物を守ることができるのか、文化財の専門集団ではない立場で何ができるのか、当初の文字通り手探りの状態から15年、様々な試みを経て、このところの関心の多くは「活用」の方面に向かっています。物理的に修復していくだけでは建物を守ることができない、建物を活用する使い途がなければ幾ら良いものであっても壊すしかなくなってしまうという経験を重ねてきたことによるものです。 さらに、建物を活用するには、建築家や建築関係者だけではおのずと限界があります。用途を発見するだけでなく、維持費や運営費の調達を始めとする様々な問題を解決するには、異分野の人たちとの連携が必須です。これに応えて来年度の兵庫のヘリテージマネージャー養成講習会では、コーディネーターやサポーターという名称で建築士以外の人材も同時に養成しようとしています。 まさにこの問題意識と直結した内容だと思われたのが今回のセミナーでした。かつて住宅だった歴史的建築物を観光資源として活用しようとしている観光の専門家の話を聞く、そこには、おそらく私たち建築関係者とは違う建物の見方があり、目からウロコの思いもよらない事実がきっと隠れていて、意外なところに国際観光のネタがあり、外国人から見た日本建築の魅力とは、などなど、新たな視点からのお話を聞けるのではないだろうかと期待されました。古民家活用方法のバリエーションが広がれば、残す可能性も高くなるでしょう。ところが…。 もちろん、そうしたお話はあったものの、最も印象的に語られたのは、もっと違った話~歴史的建築物を所有することの喜び、日本文化を身近に体験し紹介できることの楽しさ。言ってみれば、非常に真っ当な、しかし、あまりに身近で見えていなかった内容のお話でした。改めてそこに気付かされ、目を開かれる講演だったと思います。 建物を維持する手法として「観光」を入れていく、つまり観光資源になるという方法がある、それも国際観光資源となることによって維持費を稼ぐことができるだろう、資金集めの方法や維持費の削減方法など具体的な運営の方法、それらは、文化財に身近に接する喜びや楽しさ、それをどう人に伝え、観光に活用していくか、ということに他なりません。もともと持っているものを失っては意味がないというわけです。私たちは、もしかすると手段と目的を取り違えていなかっただろうか、ふとそんなことも感じました。 お話を聞き見学をすることで、改めて春陽荘の建築のクォリティの高さを知ることもできました。講演で語られた建築の空間や材料の話は、これまで建築関係者がマニアックに喜んでいた内容かもしれません。しかし、その価値を一般の人たちに語っていいのだ、それは観光的な価値を持つ、そのことも認識することができました。 やはり新しい視座を与えられたと言えるでしょう。この春陽荘のプロジェクトが成功することを願ってやみません。 (NPO法人ひょうごヘリテージ機構H²O神戸 津枝勝見) |
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